「そっか。君もこの桜が好きなの?」 「えっ…?」 するとその男の人は本を閉じ、立ち上がって私の方に向かってきた。 「この桜だよ。好きだからこっちに来たんだろ?」 「それは…」 「まぁいいや。もうそろそろで予鈴鳴るよ。俺はもう行くから。遅刻にならないように早く行くんだよ」 そういうと校舎とは違う方向へ歩いていった。 私はただ姿が消えるまで動くことができなかった。