それでもミラーゼは恋をする



オッサンのオデコがいきよいよく俺の顔に当たると、そのまま地面に倒された。
それと同時に近くに置いてあった花屋のジョウロにあたり、全身に冷たいシャワーを浴びた。

...いったい何がおこった。

「だ、だだ...大丈夫ですか?!」

女の第一声はそれ。
大丈夫なわけないだろと思いつつも、笑顔で対応する自分。

「大丈夫だよ、」

一体どんな奴だ、と疑問に思えたが、どうせこの女も所詮は俺が嫌ってる分類の女。顔を真っ赤にして俺の外見だけを判断するのだと失笑しながら顔を上げた。

そうなる事が当然だと思ってた。

「ホントですか?!優しい人で良かった!本当にごめんなさい」
「...は?」

「すみません、ひったくりさんを追いかけてて...って、あ!水びたしですね…これ、私のタオル使って下さい。」

「っ!」

「…それじゃぁ、」

女は逃げるように、オッサンからバックを取ると、そのまま本屋の方向へ走って行った。

心臓がやけにうるさい。

初めて俺の目を見て話す奴がいたとか、初めて俺に自然に話してくれたとか、


「...名前、聞いときゃよかった」


少しだけ、興味を持った午後6時のこのとき。