歩くんが立ち上がる。

私はただ下を見るしかできなかった。



罪悪感、恐怖心。

そんな思いに包まれている私はなにもできない。


クラスの人気者の彼に見られた、写真を撮られた。

軽蔑されてるんだろう。




「おもしろいもの、見れたなって」


ネタにでもするのかな。

それとも脅されるの。


いつものトーンでそういう彼が逆に怖い。

お前ら何してんだよ、とか罵倒されたほうがまだ良かった。




「…何が目的?」

歩くんが悔しそうにそう言う。

私は何も言えずに"天音"と呼ばれる波岡くんをチラリと見た。




相変わらず整った顔。

かっこいいというよりも綺麗という言葉が似合う人。




いつもクラスの中心にいて可愛くてスタイルが良くて明るい子だけが彼の周りにいることを許された。



もちろんそれは彼が決めたルールなんかではなく、


彼を好きな女の子たちの中の暗黙の了解というものだ。