「ん」

再度触れた唇。

どうすることもできないこの状況に小さく抵抗することしかできなかった。




微力の抵抗の中で考えたのは


何でこんなことされてるんだろう、とか。


何ですきってことばれてるんだろう、とか。


誰かに見られたらどうしよう、とか。



「…んっ」

好きな人にキスされてるのに、




「初心…」

名前を呼ばれてるのに、



「…好き」

一番言われたかった言葉を囁かれたのに、




…どうして泣いちゃうんだろう、とか。





そんなとき、


「あ、」

という声とともに



カシャ、

というシャッター音が聞こえた。