「ここらへんでね、十雅って人すごく有名なのよ?」 黙っている私に、百合は話し出した。 「私が十雅って人の噂を聞いたのは… 中学2年の頃だったかしら」 百合…?なんで、そんな辛そうな顔してるの? 百合は私を真っ直ぐに捉えていた。 だけど、私にこれから言うことを躊躇っているような感じがした。 後悔した。 聞かない方が良かった。 「『女たらし』で、すごく有名だって」