ROSE~AI (ノンフィクション

「祐樹は?!」

那智が男を睨みつける。


「おっかねぇ顔すんなやぁー」

バカにする様な口調のわりに、その目は笑っていない。


「っ!どこにやった!!!」

那智が怒鳴りつけると、つまらなそうに指をさした。


その先は屋外プール。


那智がチラッとこちらを見る。


「早く行って」

アタシがそう答えると、那智は唇をかみ締めながら駆け出して行った。


「あーぁー王子様は行っちゃったよー?お姫様一人でどうすんの?」


アタシの顔を覗きこんで、ニヤッと笑うその男を見上げて





バチンッ!!!




思い切り男を殴りつけた。



「・・・っのアマ!!」


歯を食いしばる。



ガンッ!!!


殴られるのは承知のうえだった。


でも、さすがにコイツのパンチはきいた。


体ごと持っていかれる。


拳が思い切りめり込んだせいか、一瞬で左耳が聞こえなくなった。