ROSE~AI (ノンフィクション

「あら。珍しい。」


教室の前、ぶすっとするアタシの姿を見て、教師が嫌味を言う。


「ささ、座りなさい!座ってるだけでも違うんだから」


由美は自分の隣をあけて、そこにアタシの体を押し込んだ。





由美は同じクラスで一番仲の良い友達。


思いきりギャルだけど、頭も良くて美人。
男子からも人気があるのに彼氏が居ないのが不思議。



「じゃあ続けて下さい。」


教師の言葉を合図に、生徒達が適当に作業を始める。



「何やってるの?」


必死に筆を動かす由美を覗き込むと


「絵描いてるの。自分が好きな絵を描いたらいいんだって。」


鼻歌交じりにそう答えて、休む事なく筆を動かした。


「へー」


そんな簡単な授業なんだ。

ま、バカ高だしね。



由美のキャンパスには真っ赤な薔薇。


それを眺めて片目を細める。



「薔薇好きなの?」

「うん。綺麗でしょ?」

「そう。」


でも私は嫌い。


美しい物は全て嫌いなの。


いつか汚れていくだけだから。