高貴と竜は、雅を連れて救急病院へ向かった。


勇ちゃんは祐樹のおばさんの所に「何とかごまかしに行く」と言って公園を出て行った。



残された那智とアタシはベンチに座ったまま、ただ黙って寄り添う様に顔を伏せていた。




この時アタシの思考回路は、きっと停止してたんだと思う。



本当になーんにも考えられなかったし。

わけがわからなかった。としか言いようがない。





「愛美・・・濡れる・・・。」


那智が傷だらけの手を、そっとアタシの頭に置いた。


「・・・・。」


あぁ。



言われて気づいた。



こんな時にアタシの好きな雨が降ってる。