「やべぇだせぇ」


那智がアタシを見上げて呟く。


「その顔・・・」


アタシは那智の前にしゃがみ込み、そっと両手で顔を包んだ。


綺麗な顔の原型がない。


顔の半分が腫れ上がって、瞼が重そうに下がっている。



立ち上がり辺りを見渡す。



「雅・・・」

雅は仰向けに倒れたまま、その顔を覗き込むと片目からは薄っすらと血液が滲み出ている。


「・・・・・。」


酷い。




「勇ちゃ・・・」

勇ちゃんは膝を抱えたまま、煙草の煙を細く吐いた。


「良かった。お前んとこには連絡なかったんだ。」

「・・・え?」

連絡・・・・



「俺ら全員呼び出されたんだよ。」


竜が血だらけになった額を押さえながらそう言った。



「誰に・・・・」


そう呟いたアタシに、那智が押し殺す様な声で囁いた。


「梅林・・・。由美、あの女梅林の女だったんだ。」