入口に立った母の後ろから、部屋の中を覗いてみる。
「・・・・・・」
ありえない。
「あらあら。寝ちゃったみたいねっ・・・・」
「・・・・・・」
まるで小動物を見るかの様に、目尻を下げた母を振り返り、溜息をつく。
娘の部屋に男が寝てるっつーのに・・・
その反応もおかしいだろう?
「つまんないわね・・・じゃあお母さんしたくするから。」
「・・・・・・」
今、この人・・・
つまんないって言ったよねぇ?
そんな母にいくらか不信感を抱きながら、部屋に入りドアを閉めた。
「・・・・・・」
ベットの中
横向きに寝転んだ那智の穏やかな寝顔。
アタシは起こさない様に、そっとベットの隅に腰を下ろした。
「・・・・・・」
アタシよりも綺麗な肌。 長いまつげ。
栗色の柔らかい髪。
気付いたらじっと眺めていて、勝手に頬を赤らめてた。
綺麗な寝顔。
整った、形のいい唇に視線を落とす。
「・・・・・・」
一度だけ、微かに触れた事のある唇。
アタシの中の衝動が揺らぐ。
その唇に
触れたくて・・
そっと・・・・
指先を・・・・・・
のばして・・・・・・
「・・・・・・っ」


