那智の電話から二日後の
1999年12月31日
今年最後の日。
珍しく、朝早くに目が覚めた。
寝起きのまんま、かったるい体を何とか立たせて
洗面所へ向かう。
鏡の前に立って、歯ブラシを口に突っ込んだ時
ピンポーン
「・・・・・・」
もの凄い嫌な予感。
いきなり玄関からの呼び鈴が鳴る。
「はひ・・・」
歯ブラシを突っ込んだまま、恐る恐るドアを開くと・・・
「おはよ~っ」
「・・・・・」
やっぱり・・・
当たり前の様に、笑顔を浮かべた那智がアタシを見下ろして居た。
何でこの人は
いつもオートロックをかっとばして来るんだろうか・・・
そして何の連絡もよこさないんだろうか・・・
「どおじょ・・・」
開かない口を何とか半分ひらいて、那智を自分の部屋に通す。
「ごめんね?早朝から」
ベットに腰をかけてアタシを見上げる那智。
「・・・・・・」
うん。
確かに早い。
だってまだ・・・・
時計に視線を向けると時刻は早朝7時半。
早いだろっ・・・・
部屋の入口で立ち尽くしているアタシに、那智が苦笑いを浮かべる。
「とりあえず歯、磨いて来たら?待ってるから」
「・・・・・」
間違いない。
慌てて洗面所へ向かうアタシの後ろで、那智の微かな笑い声が聞こえた。


