カチッ
パカンッ
カチッ
パカンッ
「・・・・はぁぁあ」
夜。
部屋のベットに寝転んで
鳴りもしない携帯を開いては閉じた。
あれから一度も那智からの電話がない。
観念した様に、携帯を閉じかけた時
~♪ ~~♪ ~~♪
「・・・・・」
{着信中 那智}
待ち焦がれていた相手からの着信。
なのに躊躇う。
しばらくどうしようか迷って、それでも鳴りやまない電話をギュッと握りしめる。
そしてそのまま、ゆっくりと通話ボタンを押した
「・・・・はい。」
しばらく待って、那智の声が聞こえた。
「・・・・・俺。」
相変わらず、何でこんな優しい声なんだろ。
胸がぎゅーってなる。
「除夜の鐘聞くんでしょっ?」
「・・・・・へ?」
何を言い出すんだろうこの人は・・・
さっきのトキメキを返して欲しい・・・
「年明け、皆で一緒に迎えるんでしょっ?除夜の鐘聞くんだって」
「・・・へー」
そうなんですか・・・
てか鐘じゃなくて、この辺は汽笛だけどね・・
「久しぶりだね。元気?」
随分また唐突に言った那智に、アタシは低く返事を返した。
「・・・・元気。」
「寂しかった?」
「・・・・・・」
「嘘、寂しかったのは俺。ごめんね?」
「・・・・・」
何でこの人は
簡単にこんな事言えるんだろ・・・
アタシは頷く事さえ出来ないのに。


