ふいに、歩きながら山崎が口を開いた。


「なぁ。」


「・・・・?」

その呼びかけは、明らかにアタシにたいするもので・・・


首を傾げたアタシに、
山崎は照れ臭そうに顔を背けた。


「また来い。」

「・・・・?」

へ?


わけもわからずに顔をしかめると、無駄にデカイ声を張り上げた。


「だからっ!!また来いってんだよ!白井の墓も!梅林にある・・・」


「・・・・・・」

キョトンとするアタシ。


それまで不思議そうに眺めてたリアと梅沢が、遠巻きにクスクスと笑っていた


「何言ってんのアンタ」

怪訝な顔を見せたアタシに、山崎は驚いた様な顔をすると


「馬鹿野郎だなお前はっ!!墓参りはちゃんとしろって言ってんだ!」

立ち止まり怒鳴りつけた


「・・・・・」
は?


「お前は阿保だから忘れそうだからなっ!」

「・・・・・」

こ、このやろー・・・・

こめかみをヒクつかせたアタシから、プイッと顔を背けて・・・・


そしてそう呟いた。


「忘れないでやってくれって言ってんだ・・・・白井ん事」



やけに大人しい声。



アタシは一瞬、目を丸くさせて・・・

思いがけない山崎のその一言に


唇を噛み締めて、小さく、小さく頷いた。


「・・・・・うん。」

忘れないよ・・・




誰からも好かれて

愛されるよりも・・・・

少なくてもいい。

心から想われてる

そんな誰かが居て・・・


アンタは幸せだな

白井。