ランチタイムはいつも忙しい。
慌ただしく動き回るアタシの耳元で、すれ違い際に竜が呟いた。
「今日ぐらい休めば良かったのにっ・・」
「大丈夫だよ。ほら、三番テーブルメニュー出し!!」
パシンッと肩を叩くアタシに、竜は唇を尖らせて返事を返す。
「はぁ~いっ」
そんな姿を眺めて、アタシは少し微笑み、また慌ただしく動き回る。
白井が死んだ事を、
その日すぐに知らされた倉木は、次の日も、また次の日も・・・
いつもと変わらずにアタシを迎え入れてくれた。
慰めたりされなくても
優しいベールに包まれている気持ちになる。
みんなには本当に感謝してる。
ただ・・・・・
いつもそこには一人足りない。
那智だけが、
いつも居なくて
アタシは何も聞けなかったし、
皆も何も触れなかった。


