部屋に戻り、ベットの中で体を丸めた。
いいんだろうか・・・・
このままで
アタシは白井と出会い、共に過ごした時間の中でわかった事がある。
鍵をかけてた矛盾。
アタシが目を背けていただけで、見えてないものが沢山あった。
母はアタシに当たり前の様に選択肢を与えてくれて
ちゃんと、
大切に思ってくれてた。
白井が生きられなかった分の道のりを、
アタシは今のアタシのまま、歩いてっちゃいけない気がした。
ガチャンッ
玄関のドアが閉まる音が聞こえた。
「・・・・・・っ」
とっさに体が動いて、気付いたら裸足のまま
閉じた玄関を開いた。
「好きなら!後悔しない様に頑張ってよ!・・・・・・・・」
廊下中にその声が響く
背を向けてた母が、ゆっくりとアタシを振り返った。
「そうやって、お母さん言ったでしょ?アタシに・・・・」
気まずくて、少し視線を外したアタシに
目を丸くしてた母が、顔をくしゃくしゃにして笑った。
「そうね、その通り。」
「・・・・・・」
涙目になった母が、去って行く間際
小さく呟いた言葉が耳に残る。
「ありがとう・・・」


