「ごめんねぇ~結局残ってもらっちゃって」
マスターが申し込みなさそうにポリポリと頭を掻いた。
「大丈夫です。お疲れ様でした。」
微笑み、頭を下げて店を後にする。
店の前で携帯を開くと、既に夜の20時過ぎ。
皆もう馬鹿騒ぎしてんだろうな・・・
カランカラン
静かにドアを閉めて、
空を見上げる。
ハァーッとはいた息が白く広がった。
「寒い・・・・」
そう呟いて歩き出した時
カチッカチッ
カチッ カチッ
「・・・・・」
店の角を曲がってすぐの所に、丸まる様にしゃがみ込んだ高貴が居た。
片手で風避けを作りながら、ジッポで煙草に火をつけて・・・
「遅かったな」
そう言ってアタシを見上げた。


