ガシャンッッ!!
玄関口に突っ立ってたアタシと高貴の間を、殴り飛ばされた男が勢いよく飛んで来た。
「・・・・・」
家の中に視線を向ける。
「馬鹿野郎っ!さっさと行け!巻き込まれるぞ」
「・・・・・」
どうやら山崎が殴り飛ばしたらしい。
「邪魔だ!いーから早く行け!」
「・・・・・・」
黙ったままのアタシに、鋭い視線を向けてからチラッとアタシの背後に目を向けた。
ザッ ザッ
砂が擦れる音。
「・・・・?」
振り返ると
ふいに体が浮く。
「なっ!ちょ・・・っ!おろしてっ!」
体が宙に浮いたまま、アタシはジタバタと手足を動かした。
遠目に見ていた那智が、気付けばアタシを抱き上げて居た。
「嫌だ。」
落ち着いた声
那智は前だけ見て足を進める。
「那智っ!」
「絶対嫌だ。」
唇を噛み締めた那智が、アタシを抱き上げたまま視線を向けた。
「那智・・・・」
「一緒に帰るんだ。」
その鋭い目に見つめられて、アタシは抵抗をやめ、俯き目を伏せた。


