白井の部屋の前、
「高貴・・・・」
「・・・・・・」
そこに居たのは、那智じゃなく高貴だった。
「そろそろ出ないとマズイ。」
「・・・・・え?」
意味深な言葉を呟いて、高貴はスタスタと階段を駆け降りて行く。
アタシは戸惑いながら、その後を追い掛けた。
一階では相変わらず敵対する梅林の連中が、山崎達を囲んでいた。
「終わった。」
玄関を出る間際、高貴が藤本にそう呟く。
振り返ると、藤本が
薄っすらと笑みを浮かべて
「行け」
そう言い放った。
「・・・・・」
目を見開き立ち止まったアタシに、山崎が遠くから何か言った。
は や く い け
「・・・・・・」
藤本の声で、待機していた梅林の連中がいっせいに階段を駆け上がって行く。
山崎や梅沢、何人かの連中はあっとゆうまに飲み込まれて・・・
「・・・・・」
約束と違う。
こんなの・・・・
ガッ!
家に戻ろうとしたアタシの手を、誰かが強く掴んだ。