ピーンポーン

「・・・・!?」


電話を切って10分位だろうか。

いきなり玄関の呼び鈴が鳴った。



ガチャ


ゆっくりとドアを開けると、そこに立っていたのは間違いなく那智で・・


「住人の人にくっついて入って来ちゃった。」


そう言って笑うと、濡れた髪をかき上げた。



「風邪ひくよ?入って」

手招きして玄関先まで迎え入れる。


「・・・・この前は追い返したくせに。」

那智が上目つかいで意地悪く言った。


「・・・・・・」

困った顔して振り返ったアタシの頭を、ポンポンと叩く。

「嘘だよ。」

優しく笑いながら。


「紅茶より珈琲のがいいかな?」

そんな事を言いながらリビングに通そうとするアタシの腕を、ふいに掴む。


「愛美?」

「・・・・?」

振り向くと那智が、優しい笑みを浮かべてアタシを見ていた。


「今日何の日か忘れてなぁい?」