バババババ・・・
バババババババ・・・

グゥーン・・ババババ・・


小雨の中、白井の運転するバイクは猛スピードで走りぬけて行く。


雨が肌に痛くて、思わず白井の背中に隠れる様に身を縮めた。



「この辺りでいい。」

「りょーかーい」


マンションの手前でバイクはゆっくりと停車した


「きょーは忙しいから、明日の午後迎えよこすよー12時ねぇー」


「・・・・わかった。」


小さく頷いて、走り去るバイクを見送る。


あんなにでっかい、悪魔みたいに思ってた男の背中が、何故か小さく見えた。








きっと人それぞれ



何か壊れ物を抱えて生きてる。



触れられないのに手放せない何か。


それは時に宝物にもなって


生きていく枷にもなる。


誰もがそれに怯えながら生きてる。


自ら足元に滑り落とす強さなど


きっと


アタシにも


白井にだってないんだと思う。