ROSE~AI (ノンフィクション

「那智・・・・」

気を張ってた自分に、ようやく気付く。


顔を見ただけで泣きだしたくなる。


急に弱ってしまったアタシは、ふらふらと那智の前まで行くと、ただ黙って俯いた。


勝手な行動をしたアタシを、きっと怒ってる。


もしくは呆れてるかも。


そう思ったのもつかの間


「ばかだな・・・」


那智の両手に包まれた。


抱きしめられた腕も体も凄く冷たい。


足元には缶コーヒーが二本。

一本には煙草が沢山詰まってて、どのくらいここでアタシを待ったんだろうと思った。




「愛美・・・」

「・・・・・・」

少し体を離して、那智が不安げな顔でアタシを見下ろす。


アタシは那智を見上げて・・・・・

ハッとした。


白井の言葉が頭を過ぎる


もう既にアタシはアイツに洗脳でもされたんだろうか。


誰に見られてるわけでもないのに怯えてる自分がいる。


もしもバレタラ振り出しに戻るだけだ。


「もう、帰りなよ。」


そう言ってアタシは那智の体を突き放した。