階段を上がってすぐの部屋、そのドアを山崎が開ける。


「入って。」

「・・・・」

急に実感がわいてきた。


部屋の中は薄紫のブラックライトで照らされてるだけ。


足を踏み入れると


奥に大きなベットがあるだけで他の家具はとくに見当たらない。



一階とは全く違う。


シンプルで綺麗でここだけ何もなかった。



パタンッ

そのまま山崎にドアを閉められる。


チラッと後ろに視線を向けて

外から鍵をかけられていない事だけは確認しておく。


「来たぞ。」

投げやりに言ったアタシの言葉に


「よーく来たねぇー」


ベットの上にしゃがみ込んだ白井が片手を上げて笑った。


ズカズカと歩みよるアタシを、白井は無表情のまま見上げる。


ガッッ!!

勢いよく振り下ろした拳が、まんまと白井の頬を直撃した。


「・・・・・・」


「今日はやり返さないんだ?」

挑発する様にそう言ったアタシに、フッと笑って目を伏せる。


「立ってないでさぁー座ればー?」

「仲良くしに来たわけじゃない。」

「じゃー何しに来たの」


無音とブラックライトの光り。


目がチカチカしてくる。


こんな部屋に一日中居たら気がおかしくなりそう。


「好きにしたらいいよ。そのかわり倉木には二度と関わらないで!」


「・・・・・・」

黙ったまま白井は煙草に火をつけた。

白い煙りが細く揺れる。


「じゃあさ、女になれ」

視線だけアタシに向けてそう呟く。