「またなー」
「お邪魔しましたぁ」
「じゃねぇ」
雨が上がって、まるでさっきまでが嘘の様に晴れ間がさす。
いつの間にか母も男もいなくなってて
皆が帰った寂しい家に一人。
テーブルに置かれた手軽を読む。
次に会う時きちんと紹介したいと思うわ。
その時は時間作って下さい。
アタシは冷めた目でそれを見下ろすと、そのまままた部屋に閉じこもった。
毎回毎回
よく懲りない。
母が連れてくる男はどれもろくなもんじゃない。
アタシの父が典型的だ。
幼稚で暴力的で、頭がイカレテル。
アタシが父に殴られてても、一度は止めに入るが、一発殴られるとすぐに泣き出して遠目にその行為を見守ってた。
そんな父を
愛してた?
違うでしょう?
失うのが怖かったんでしょ?
母は誰かに執着しなければ生きていけない。
あんな男を選んだのは、歳が若か過ぎたせいかもしれない。
でももう37歳。
そんなの通じない。
父の後釜もそう。
アタシを犯そうとした男
事実を知っても別れる事はなく、そのかわり一切自分の恋人を家に連れ込まなくなった。
それが母の守り方らしい
マジ笑える。
その次も同じ。
借金まみれの男と再婚しようとして、アタシがそれを邪魔してやった。
愛美のせいで・・・
母は泣きながらそう言ったけど。
それでいいんだよ
お母さん。
あなたは少し孤独に慣れた方がいい。
あなたは母である前にただの女だ。
アタシにはただの滑稽な弱い女にしか見えない。


