ROSE~AI (ノンフィクション

何か言いたそうな母を無視して、真っ先にアタシ自ら部屋へと入って行く。


「こんにちわー」


母に挨拶をしながら次々部屋に入る中、那智が呼び止められる。


「お邪魔し・・・」

「あぁ、あなた。」

部屋の入口。

もちろんドアは開けられたまま。


「お久しぶりです」

那智は困った様に笑い、部屋の中に居るアタシに視線を向ける。


「この前はありがとう」

「いえ・・・」


見ていられなくて声をかけた。


「やめてよ。那智が困るから。」

少し、刺のある口調になる。


「愛美・・・」

悲しそうな声で、アタシの名を呼び那智が振り返った。


「ああ、ごめんなさい。お引き止めして・・」


「いえ。大丈夫です。」


「すぐに私達出るから、ゆっくりして行ってね」


「はい。ありがとうございます。」


那智はそう受け答えすると、部屋に入りドアを閉めた。



パタンッ


ドアが閉まる音。


アタシは那智をずっと目で追ってた。


那智はふと窓がわに視線をうつして、

少し、驚いた様な顔をすると


すぐフッと笑ってアタシを見る。



誰にもわからない様にそっと・・・


へ た く そ


そう呟いた。


「・・・・・」


アタシは振り返り、窓に揺れる降れ降れ坊主を見上げた。


「・・・・」

笑われる程、不細工じゃないじゃない。


ふて腐れた顔をするアタシに、那智はまた笑みを零した。