リビング。


オールバックにキャミにショーパン。


我ながら凄い恰好で紅茶をすする。


「・・・・・」

那智がクスクスと笑ってアタシに微笑みかけた。


「男前だね、その髪型」

「・・・・・」

ブスッとしたアタシにお構いなしでまた笑い出す

「・・・いいよもう。」

何かちょっと腹立ってきた。


そう言って那智を睨むアタシに


「嘘だよ。愛美は綺麗」


笑いながら、言った。


「・・・・・・」

「・・・・・・」

ヤバイな。

冗談だってわかってるのに・・・

きっとアタシ、顔


真っ赤だ。



「あ、でさぁ・・」

那智がいったん視線を落として、会話の流れを変えた。


「あ、うん。なに?」

そっと、顔を上げる。

視線がぶつかる。


「・・・・」

「あの時、白井に何言われたの?」


「・・・・・・」

え?

「すれ違いざま、何か言われてたでしょ?」


「・・・・いや?」


「嘘だ。」

カップを口元に運びながら、上目つかいでアタシを見た。


「・・・・・」

見透かされてる。


「行くつもりなんでしょ?白井んとこ。」

「それは・・・」

言い訳しようとするアタシに、那智が言葉を続けた。


「大丈夫だよ。引き止めたりしないから。」


「・・・・・・」

サラっと言われた一言に、何故か傷ついてる自分がいる。


引き止めて欲しかったわけじゃなかった。

逆に、引き止められたら困るから・・・



「だって、引き止めても行くでしょ?愛美は。」

真っすぐにアタシを見る目。


「・・・・うん。」

その通りだ。


「だからいい。迎えに行けばいい話しだもん。」

「・・・・・・」

ニコッと笑った那智に、アタシは目をそらせずにいた。


「必ず、連れ戻すからね。」

「・・・・・」

黙ったまま、俯いたアタシを、ソファから立ち上がり促した。


「さ、髪、流そうか。」