朝、目が覚めてすぐ。


カーテンレールにぶる下がった、ソレが視界に入る。


思わず苦笑いを浮かべて、ベットから抜け出した

カーテンの向こうはまんまと雨。


お前のおかげか・・・


アタシはユラユラ揺れる 降れ降れ坊主を指で突いた。



部屋を出ると家の中は相変わらず静かで。


テーブルに置かれた、母の手紙が目についた。


今夜は帰りません。


今夜も。 でしょ?


手紙を丸めて床に投げ付ける。



ピーンポーン


それと同時に呼び鈴が鳴った。




「はい。」

インターホンの受話器を取ると


オートロックのドアの向こう。

モニターを覗く那智が見えた。


「俺。どーすればい?」

「あー、とりあえず上がって。」

そう言ってロックを外した。


窓の外を眺める。

ついさっきより雨脚が強くなっている様だ。




ピーンポーン


しばらくすると今度は玄関から呼び鈴が鳴った。


駆け寄ってドアを開けると・・・・


「・・・寒い。」

「・・・・・・」


びしょ濡れの那智が、両手で体を抱えながら立っていた。