気が付くと、政哉はベッドから転げ落ちて腹を抱えて咳をしていた。


「おい、何モンだ?!」



トモが隣のベッドにいる人物に向けて威嚇する。



「はぁ〜…本当、バカみたい。アンタら」


起き上がっていた女は、ベッドから降りて隣のベッドのカーテンを開ける。




「「「「!!!!」」」」



そこにいたのは、制服を着崩して、黒いフードを深く被った長身の男だった。



「君は……、1年の鳳月 仁(ホオヅキ ジン)君かな?」


やっと口を開いた誠が眉間に皺をよせ、仁に聞く。





「先輩、この子に触らないでくれます?」


仁は、女を抱き寄せると、作り笑顔で怒りを隠す。


「ほーう、お前が彼氏?」

海李は、挑発するように聞いた。



「黙れよ、野良犬共がッ!この女はテメェらが簡単に触れちゃならねぇんだよ!!」


仁は殺気を放つと、女を少し自分から離すして指を鳴らす。



「野良犬共だって?その喧嘩、買ってやろうじゃん」

トモが指を鳴らす。



「そこまでだ」



ピリピリと張り詰めた空気が、ある人物によって変えられた。



「タケちゃん?!なんで………いつもは喧嘩止めねぇのに……どした?」



「保健室は喧嘩する所じゃねぇだろ!するんだったら出てやれ。」


と、タケちゃんの殺気が放出される。


「ッチ、帰んぞ、覚悟しとけ1年坊」


「………」






だけど、仁はビクともせず女と寄り添う。



うわームカつく奴だぜ……

政哉は仁を睨み付け、保健室を出た。