「〜〜〜〜〜」


トントンッ……


突然、肩を叩かれて後ろを振り替えると目を見開いて物凄く驚いてる。



「―――」


男は、口をパクパクさせながらまだ驚いてる。




あ、イヤホン外すの忘れてた……。





外した瞬間、男の大声。




「ぉお、女ァ!!!!」



見りゃ、わかるでしょ。



「え、女?」


「………」


あーもう、面倒だ。


「いっづ……クソ野郎」


いっづって何だよ、つか勝手にキレるなよ。



「あのさ、何で女がいるのかは、後回しにしてさ……手当てしてくんね?」


「………、」


私は、何も無かったかの様にイヤホンを耳にはめた。

あんだけ騒いで後回しか…

「いやいや、無視は酷いよ、怪我人目の前で!」


私は、ipodの電源を切ってバッグにしまいこんだ。



「………、」


「そんなさぁー露骨に嫌そうな顔すんなよ……」


男は横腹を押さえ、痛みに堪えながら微笑む。


え、何コイツ横腹、斬られてんのにヘラヘラしてるワケ?


私は、無理やり男の黒いタンクトップを捲った。



「お、おぃ、ちょ!」


「……アンタ、馬鹿?」


「あ、喋った!」


「うるさい、アンタ腹切ってんだから喋らないで」


「………」


あ、意外と素直。



「ま、浅くてよかったね。」


止血を終えて、ガーゼを貼って包帯を巻いた。



「あ、今暇?」


「……ヤダ」


「いや、答えになってねぇし」


「うるさい。」


「じゃあ、話しよーぜ」


「………」


話の内容は、わかる。


私が、ここにいる理由が知りたいだけでしょ。



「たいした理由なんて、無いよ」


「え…?」


「………、」


あー面倒だ。