「ピリリリリリ ピリリリリリ」

武の携帯が鳴っている。

「ねぇ!携帯鳴ってるよ!」

ふらふらしながら携帯を手に取る武。

「おー噂をすればなんとやら。はいはい、今出ますよ〜!」

さっきまで大人しかった私の心臓がまた早く動き出した。

「もしもし〜タケちゃんですよ〜どうしましたか〜」

「………」

「ふにゃ〜?声がよく聞こえないにゃ〜」

「………」

電話の向こうで何か言ってるけどよく聞こえない。

「私が電話を代わるから!貸して!」

と武から携帯を取り上げる。

「あっ、もしもし…初めまして。私、山下さんの同僚の上杉と言います」

ドキドキしながら相手の返事を待つ。

「…あれ?もしもし?武…の携帯ですよね?」

「山下さん、少し酔っぱらっちゃって…」

「ったく。酒弱いくせに飲むの好きだからなぁ」

「はぁ…あ、あの!失礼ですけど堂島さん…ですか?」

「あぁ、そうです。堂島です」

もう心臓が口から飛び出しそうなくらい興奮している私。

電話の向こうではあの彼がいる。

その彼と話とかしちゃってる私。

まさか夢見心地とはこの事を言うのだろう。はぁ。幸せ…。