無償の想い

お店に入り武はしょうが焼き、私は天ぷらそばを注文する。

「そういえば昨日電話した時なんか忙しそうだったな。もしかして家じゃなかったのか?」

堂島さんからの電話を待ってる時の事を言われる。

どうしよう。いきなりこんな質問が来るとは思ってなかった。

「え?い、家に居たよ?別に忙しくなんて無かったし」

「そういう割にはやたら慌てて電話切ったじゃねえか。自分で忙しいって言ってたぞ?」

堂島さんの事ばかり考えてて武との会話が全く思い出せない。

なんとか話題を変えなければ・・・

「わ、私だって忙しい時だってありますー!洗濯したりお茶碗洗ったり・・・」

「俺は洗い物に負けるのかよ・・・」

そう言いながらうなだれる武。

「そういう訳じゃないって!ほら、手が泡だらけだったから」

我ながらなかなか上手い言い訳を言ったもんだ。自分に拍手。

「それじゃ急いで電話も切るな。うん。俺だったら出ないけど」

「私はどっかの誰かさんと違ってちゃんと出るんですー。掛け直すと電話代がもったいないでしょ?」

「そこまで節約しなくても・・」

「冗談よ」

「真顔で言うなよ・・・怖いですよ麻美さん」

「あはは!怖かった?ほら、ご飯来たよ。食べよー」