「詩織が可愛いだと? お前の目は節穴か、大樹」
「なっ、せっかく大樹が褒めてくれてんのになんでアンタはそういうこと言うかなぁ」
「うっせー、ちょっと化粧したぐらいで調子のんな」
「そういうアンタは高校生になるんだから少しはおとなしくしたら!?」
………悠太とはいつもこうなんだ。
目が合えば悠太にからかわれて、口喧嘩になって。
でも悠太とこうしてる時が1番幸せだったり――――。
私、幼稚園の頃からずっと悠太に恋してたから…。
でもこのことは誰にも言ってないんだ。
言ったら、この関係、崩れちゃうでしょ?
私はいつまでもずっと、この仲良し4人組でいたいんだぁ。
だから誰にも言わない、これから言う気もない。
私がひそかに、恋をしてるだけ…。
「何似合わねーツラしてんだよ。 そろそろ行こうぜ」
悠太におでこをコツン、と人差し指で押される。
押されたところからまるで熱が伝わってくるように、
熱くて、ジンジンしてる…。
悠太が歩き出すと、大樹も小走りで追いかける。
「詩織、私達も行こう」
美紅が私を待ってくれている。
「うん、そうだね!」
ダメダメ、今日は高校の入学式なんだから!
笑顔で行かなきゃ!
