1人はもう1人の男子の影で遠慮がちにこちらを見つめている。
もう1人は人の家の前で堂々と腕を組んで立っている。
私が2人に目をやると、
「おはよう、詩織ちゃん」
「遅ぇわ、ボケ」
2人ともそれぞれと話しかけてくる。
ん、いや、
1人は明らかに暴言だな。
こっちの遠慮がちな青年は、
美紅と同じく恥ずかしがりやで人の目もまともに見られないぐらいのピュアボーイな遠藤大樹。
そして朝っぱらから私に暴言を浴びせてくるこの無礼男は、
いっつもいっつも私をからかって面白がってくる江田悠太。
「おはよ~、大樹♪」
私はわざとらしく悠太を無視して大樹へ駆け寄る。
「詩織ちゃん、今日なんか雰囲気違って可愛いね…」
「えっ?」
一瞬ドキッとした私はすぐに気が付いた。
そっか、今日私、メイクしてるんだった。
「あ、ありがとっ」
照れながら大樹にそう言うと、
隣にいた無礼男がムスっとした様子でこっちを見てきた。
