さっき一瞬だけ覚えた美紅への思いに、
自分でも信じられなくなっていた。
大樹も美紅が心配なのか、
美紅を抱えた悠太を追いかける。
私も行かなくちゃ…。
必死で追いかけてた。
必死に追いかけてれば、
美紅へのイラつきも、変な気持ちも、忘れちゃうって…。
保健室へと急ぐ2人を、私も複雑な思いで追いかけた。
あの時…、
美紅を真っ先に助けようとした悠太…。
ううん、幼なじみだもんね、
今までずっと一緒だったから、とっさに体が動いたんだよね!
そうそう、私の思いすぎなんだって!
もっとポジティブに行かなくちゃ。
保健室に着くと、悠太は汗だくになって、
美紅をベッドに寝かせた。
保健室に着いた頃には美紅は痛さから解放されたかったのか、
寝息をたてていた。
朝まであんなに元気だったのに…
…もしかして、私達に心配かけないように無理してた?
「バカ美紅…」
何やってんの、
体調悪いなら、言ってくれればよかったのに。
入学式だからって、無理やり笑顔でいなくたって、よかったんだよ…。
保健室の先生も体育館のほうから連絡をもらったのか、
すぐに保健室へやってきた。
「どうもありがとう。 あなたたちは体育館に戻りなさい、あとは私がなんとかするわ」
一瞬だけベッドに横たわって寝ている美紅を見つめると、
私達3人は保健室を出て行った。
