「うっ…」
突然おなかを押さえてその場に倒れこんだ。
美紅…!
と私が声を出すよりも先に、
「美紅!!!」
立ち上がって美紅の元へかけ寄っていたのは、
「大丈夫か? 立てるか?」
…悠太だった。
あんなに入学式ダルいーみたいな顔してたのに、
美紅のことになったらこんなに一生懸命になるんだ…。
「し、詩織ちゃん! 僕達も行こう!」
大樹の声にハッと我に帰った。
私、今一瞬…
……………美紅にイラついた?
そんなことないよね…。
「くそっ、しっかり持ってろよ」
立ち上がれないほど痛がっている美紅を見かねた悠太は、
美紅の腕をきっちり掴むと、そのまま美紅の体を持ち上げた。
「キャー!」
「すごいっ、あれ、お姫様抱っこじゃん!」
「あの2人できてんのかな?」
在校生の女子からもたくさん声が上がっている。
お姫様……抱っこ。
緊急事態に新入生もざわつき始めた。
私、こんなときに美紅に…
何考えてんの…。
