もし、あたしが航輔先輩じゃなくて山崎くんみたいな困難の無い人を好きになっていたら…
こんなにイヤな思いしなくてよかったのかな?
でも、航輔先輩に出会ってなかったらこんなに好きって気持ちになれなかった。
これは運命なんだ。
でも決して後悔なんてしてないよ?
ただ、たまに思っちゃうんだ。
もし……って。
悲しい時はなおさらね。






そんなことを思っていると、もうすぐ家の近くになった。
「あっ!あたしの家あそこ!」
「おお。」
「じゃぁね。ありがとう。助かったよ!」
「おぅ。じゃぁな。」
家に入ろうとして、歩いたら山崎くんに腕をつかまれた。
「どうしたの?」
「もし、俺がお前のこと好きって言ったら?」
「へっ?」
「俺、ずっとお前が好きだった。」
「あたし…好きな人いるんだ…」
「大倉先輩か?」
「うん。なんで知ってるの?」
「お前見てたら分かるよ。」
「そっか。」
「じゃぁな!急に変な話してごめん。
返事はいつでもいいから!」
「うん。ごめんね…」
あたしは急いで家に入った。
あたしのこと好きってホントかな?
でも嘘で言えるような話じゃぁないよね。
さっき、もし…山崎くんだったらとか思ってたけど、
やっぱりあたしは…あたしは…
航輔先輩じゃなきゃダメなんだ。
航輔先輩しか目に見えないんだ。
山崎くんに気持ちを伝えられたときは戸惑ったけどとても嬉しかった。
明日ちゃんと断ろう。
傷つかないように…
優しい山崎くんならあたしよりいい人が見つかるよ。