数十分あたしはずっと航輔先輩の胸の中にいた。
彼女さんのことなんて忘れていた。
忘れられたんだ。この時は…





「てかお前をいじめる奴って誰だ?」
「分かってたら、こんなことしてませんよ。」
「あはは。だよなぁ。心当たりは無いのか?」
「んー…無いです。」
「俺も探してみるから。お前のなんかあったら言えよ。はい。」
航輔先輩はあたしに携帯を向けた。
「え?」
「赤外線だよ。」
「あっ。」
わたしは急いで航輔先輩に携帯を向けた。
「用事無くてもメールしてきていいから。」
「はい。ありがとうございます。」
「ってか、お前美優っていうんだ!」
「今ごろですか?はははっ。」
「まぁ今日分かったからよかったよ。」
「あ。はぃ。」
「でお前の家どっちだ?」
「あっちです。」
なんで聞くんだろ?と思ったら、一緒に歩いてくれた。
あっ!送ってくれるんだ…
「いいですよ。」
「なに言ってるんだよ。こんな遅くに女の子一人であるかさねーよ。」
といってものすごいかっこいい笑顔で航輔先輩は笑った。
私もつられて笑った。