モラトリアムを抱きしめて

私はその場に膝から落ちた。

はっちゃん……。

もっともっと、してあげたい事があったのに。

涙が止まらない。


「何やってんだよ、身体……冷やすなって言ったでしょ」

べたっと座り込んでしまった私を突如、ふわっと温かいものが覆った。

見覚えのあるコート。

それは、はっちゃんの手みたいに温かかった。

「嘘っ、何で?」

振り向くと、そこに夫が立っていたのだ。

「どうして……仕事は……」