モラトリアムを抱きしめて


「ハジ、メくん?」


――誰、だっけ……


目眩と一緒に頭がぐるぐると掻き回される。

「ハジメ君にも留守電入れたんだけど……」


わからない。

痛い。

痛い。

頭よりも胸の奥が握りつぶされたように痛んだ。


「あれ?噂をすれば」

「叔母さんお久しぶりです」


キィーっと高い音がする扉を開けて入ってきたその男は、爽やかな笑みをこぼしていた。