モラトリアムを抱きしめて

本当は帰ってなんかほしくない。家に居て、私が帰ってきた時に迎えてほしい。

しかし、この子の事情がわからない限り強要は出来ない、そう思った。

そんな思いもはっちゃんの表情を見ると、帰ると言ったって無理にでも引き止めたくなってしまう。

そんな悲しい表情。


「好きなだけ居ていいんだよ」

私は手を止め、はっちゃんの前に座り目を見て話した。

一瞬、疑われた気がした。「帰る」という言葉に裏切られたように感じたのだろうか。

わからないけれど、信じてほしかった。