モラトリアムを抱きしめて

「家にあるもの何でも使っていいからね」

話しながら、少し大きめのバッグに荷物をつめていく。

「それから……」

はっちゃんを残していくのは心配だ。しかし連れていくわけにもいかない。

しっかりしているから大丈夫だろうけど、本当はついてきて来てほしいくらいだった。それはただ、私が心細いからであるから言わないけれど。

はっちゃんは私の言う事を「うんうん」と頷きながら聞いてくれていた。

お金や服の位置を教え、ふと思った。

何だかはっちゃんが居る事が当たり前で、自然だったから忘れてしまっていた。

「はっちゃんは帰らなくてもいいの?」