モラトリアムを抱きしめて

立ち上がりもう一度、留守番電話の再生ボタンを押す。

おばちゃんはご丁寧に自分の電話番号と母が運ばれた病院を録音してくれていた。

時刻は昼間。私とはっちゃんが楽しく買い物をしていた時だ。

慌てるようすもなく、淡々と流れるメッセージに違和感を覚え、動きが止まってしまう。

覚えている限りでは、昔のおばちゃんはもっと感情的だった気がする。時がそうさせたのか、私の思いすごしだったのか。

わからないけれど、メッセージは事務的だった。

気付くとはっちゃんは首を傾げ、不思議そうに私を見ていた。

「はっちゃん、ごめんね、私行かなくちゃ」

まだよくわからない様子のはっちゃんだけれど、コクリと頷いてくれる。