モラトリアムを抱きしめて

「寒くない?」「傷は大丈夫?」「お腹空かない?」

起きあがった途端、質問ばかりする私を宥めるかのようにはっちゃんは首をいろんな方向へ振る。

これではどちらが年上かわからない。

天井から床まである長いカーテンを開けると、今日も寒そうな空があった。

明るくなってきてはいるものの、建物に隠れた太陽はまだ見えない。

冬の空は澄んでいて遠くの景色まで望める。

「そうだ、はっちゃんってお兄ちゃんいるの?」

はっちゃんはこの質問にだけ、答えてはくれなかった。

夢だからあてにならないよね。しかも変な夢だったし。