モラトリアムを抱きしめて

傷は幸い範囲は広いものの深くはなく、血も止まっていた。

緊急性はないように思うが、私は素人だ。少女が倒れていた事もあるし、もしかしたら頭を強く打っているかもしれない。

「この傷はどうして出来たの?転んだりしたのかな?それとも誰かに……」

転んだだけにしては大きい。転んでさらに何かにぶつけた?

服は汚れ、他にも沢山の擦り傷、そしてよく見るとアザまである。そんな少女がただ転んだだけだとは思えなかった。

誰かにやられたとすれば、いったい誰が。

聞きたい事は沢山あるのに、少女は口を開こうとしない。

「……」

困ったな。どうしよう。

「家の電話番号はわかる?」

外は陽がなくなり、暗くなりはじめていた。きっとこの子の親も心配しているだろう。