「いつかそれは、子どもにもわかってしまう……」

その時、その子は私と同じ存在になる。

「そうかなぁ」

「絶対そうよ」

この連鎖を止める方法を私は知らない。きっと母も、そして兄もそうだったのだろう。


「僕がいるのに?」


夫の意見は拍子抜けするほど単純で、私には浅はかに思えることを平気で、そしていつも真面目に言うのだ。

少しだけ肩の力が抜けた。

結婚の話が出た時、あまりにも家柄が違いすぎる事を理由に断ると、「ご苦労されたんだね」と言われ、今みたいに拍子抜けしてしまった事を思い出した。

そして、初めて自分自身を正当に評価してくれる人に巡り合えたと思い、人前で泣いてしまった。

夫はそういう人間だ。


「僕はいいと思うけどな」