「だって……」


――だってもヘッタクレもあるか。言い訳ばっかしてると、つまんねぇ女になるぞ


口の悪いサラマンダーはそう言うと、窓に向かって跳んだ。

朝の日差しが差し込む窓枠は、すっかり暖まっている。

ジャルグは気持ち良さそうに、窓枠に陣取って体を伸ばした。


あたしは散らばった糸を片付け始めた。

織物をしていたと母に知れたら、大目玉を食らう。


――嬢ちゃん


「何?」


――あんたのお師匠さんは、何だってこんな朝早くに来るんだい?


窓から外を覗くと、確かにうちに向かって歩いて来るホークが見えた。


「何だろう?」


――心当たりはなしかい?


「うん」


――あんたの顔でも見に来たんじゃないのか?