ホークは少し考え込んでから、うなずいた。

「その方が賢明か」


「ホーク?」

あたしは、不意に不安になった。

「王はホークを疑ったりしていないよね?」


「誰もが疑われている。慎重に行動せねばな」


あたしは自分を恥じた。

この穏やかなアルス村で生まれ育って、国中どこへ行っても同じように平和なんだと思っていた。

ここが優しい場所なのは、先代の伯爵様やホークがそうあるように頑張ってくれていたからなんだ。

それなのに……


「どうした? アレクサンドラ?」

急に黙り込んだあたしを見て、ホークが訝しげな顔をした。


「ごめんなさい。あたし――あたし、ホークは大変なのに、魔法の練習を休めるってちょっとだけ喜んじゃった」


本当は『ちょっと』どころじゃないけど


ホークは苦笑いを浮かべた。