まあ、それはそうね……


「あの女が伯爵夫人の椅子を狙ってなければいいのだけれど」

「ダメですか? 奥様はホークに早く結婚してほしいんだと思ってましたけど」

「もちろんよ」

「レディ·クリスタルのお父上は子爵だそうですよ」


そして、同行しているゲオルグ卿はお兄さんで、王の寵臣なのだという。


「家柄がよければいいというものではありませんよ」

先代伯爵夫人は忌ま忌ましそうに言った。


「美人ですし、宮廷魔導士だと言ってました」


「サンディ」

先代伯爵夫人が、ジロッとあたしを見る。

「あなた、本気であの女とイアンが結婚すればいいと思っているのかしら?」


あたしは戸惑いながら先代伯爵夫人を見た。


「ホークが望むなら、いいと思いますが?」


先代伯爵夫人は、ハアッと深いため息をついた。