心臓がドキドキしていた。

吹き飛ばされたときにぶつけたのか、頭もガンガンと鳴っている。

ううん、鳴っているのはあたしの頭ではなく後ろのドアだ。


「アレクサンドラ! どうした? 開けなさい!」


ホークだ

どうしよう、叱られちゃう


「アレクサンドラ!」


あたしは返事をしなかった。

とにかく、この惨状を何とかしない限り死んでも外には出られない。

でも、この瓦礫の山をどうしろっていうの?


後ろで鋭い爆発音がして、今度はドアが文字どおり木っ端みじんに吹き飛んだ。


あたしの師、アルス伯イアン·グレイホークは険しい表情であたりを見回した。


「アレクサンドラ」

冷ややかな声にあたしは身を縮めた。

「壁がどこへ行ったのか聞いてもいいかね?」