「知ってたの?」


「織物の事か? 知っていたさ。お前がいつ織り師になりたいと言い出すのか待っていたくらいだ」


「悩んで損した」

あたしは笑った。


「それに嫌なら、床(とこ)を共にしなくてもいい」


「ちょっと待って! それって部屋の事? それとも、その……ベッドの事?」


「両方だ」


「あのね……伯爵夫人のお仕事の一つは後継ぎを産む事じゃないの?」


「そうだな」

ホークはふいっと顔を背けてしまった。


そうだな――って、それだけ?


あたしは唖然とした。


ホークはそれっきり黙り込んでしまい、気まずいほどの沈黙が続いた。


空のどこかで鳥がさえずっている。