幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~

「そなたには無理です。さあ」

王妃様はあたしから短剣を取り上げた。


レディ·クリスタルの言う通り、ホークに守られて育ったあたしは甘ったれだった。

でも、四年間の幽閉生活の末、死を覚悟してここに来た王妃様は違った。

迷わずユニコーンの首に刃をあて、

力を込め――


ユニコーンは大きく身震いし、黄金の光に包まれた。

光は天井まで柱のように伸びて、その中から人が現れた。


純白の長衣を着た背の高い女性だ。


星の光を額に宿し、手には長い王笏を持っている。

膝のあたりまである髪は、射干玉(ぬばたま)の黒。

細面の美しい顔には見覚えがあった。


ラドリーン姫……


マール修道院のタペストリーの貴婦人の姿がそこにあった。

あたしを見つめる黒曜石の瞳は、汚れなきユニコーンのそれだった。

あたしも王妃様も、その場にひざまづいた。